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2007年11月25日 (日)

金田さん、その7

月曜日、二人の間には微妙な距離が出来ていた。



少し離れたところで一瞬目を合わせた二人はお互いどうやって
つい2日前のくったくのない感情に戻してよいか分からなかった。


智子は父の言葉が深く荘次親子の心を傷つけたであろう事を
幼いながらも感じていたし、
その事を荘次に謝れば、更にまたプライドを傷つけるようで
黙っているしか彼女には方法はなかった。



荘次もまた大好きな智子に謝ってもらうなんてとんでもないと思ったのと、
母、洋子があの時黙って抑えていた強い感情の手の熱さを
忘れられなかった。

そして早く智子がこちらをそっと悲しい目で見る事がない様
願った。

常に智子の視界にいてくれた荘次は、
こうしていつの間にか視界からは外れていった。

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冬休みに入ったばかりの頃、父親の栄転で
智子は急遽東京に引っ越していくことになった。



母親の洋子にはクラスの仲間と見送りに行くよう言われていたが、
多分、何も言えないだろうし、
第一もう智子とはあれ以来ほとんど話しもしてないから
行っても仕方ない。


珍しく北風も吹かず穏やかな午後、
家の前でぼんやりと座りこんでた荘次のところに
智子の見送りから帰ってきた友達が
「荘ちゃん、来てくれなかったねって、智ちゃん言ってたよ」と言いながら
彼女から託された一通の封筒を持って寄ってくれた。

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友達が帰ったあと、封筒を開くと中には
1通の手紙と、あの日智子の母親に写してもらった
写真がはらりとすべり落ちた。


手紙には

「荘ちゃん、とうとう最後までゴメンねと言えなかった弱虫な私を
許してね。おばさんにも本当にごめんなさい。」と書かれていた。


智子を気遣ったつもりが却っていつまでも辛い思いを引きずったままに
してしまった事に初めて荘次は気がついた。

お互いが思いやった結果、却って遠い存在になってしまったのだと。

手にした写真の中の智子の笑い声さえ聞こえてくるような
楽しそうな笑顔を荘次は涙をポロポロこぼしながら見つめていた。

253

                           

                     続く…

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毎度まったり更新の私ですが、金田さんシリーズは11月には
終了させる予定でいました。

(12月は仕事が非常に忙しく、あと年末には娘のところにどうやら行けそうなので
サボリきった英語の復習もあるし…等で12月は更新は更に超まったりに)


ところが! まったり過ぎちゃってこのままだと金田さん、12月になっても
終わらない…。


そこで誠に申し訳ありませんが、コメントのご返事はそちらの
ブログに伺っていたします。
(でも励みになるし、なにより読ませていただく私が楽しいほど
ステキなコメントばかりなので、勝手だけどコメントはお待ちはしてます)。

1月からはまたコメレス出来ますので、お許しください。










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シリーズ物」カテゴリの記事

コメント

母の端くれである私も
洋子母さんと同じように子供に言えたでしょうか?
「恨んではいけない」と・・・。
悔しさを押し殺して言えたでしょうか。
胸が苦しいです。涙が止まりません。

荘ちゃんと智ちゃん
再会して欲しいです。
大人になって、たくさん言葉を知り
自分の気持ちを言葉に出来るようになってから!!

ああ!またもや続きが知りたい!

投稿: 母上 | 2007年11月25日 (日) 03時01分

ちょっと涙ぐんでしまいました…

子供の頃って 距離ができると なかなか修復できないのですよね。
本当は 大好きな友達でも。。

12月は忙しいですよね。 訪問もお気になさらず…
そして… お嬢様のところにいけるのですね~!!!
わ~ いいなぁ! そっちの記事も早く見たいなぁ!
珍道中?になるかな? またユーモアを交えての絵日記、とっても楽しみにしております

投稿: スノーパンダ | 2007年11月25日 (日) 10時14分

半世紀を生きると出会いや別れの数も重なります。
30年以上続く友との出会いも その時だけのたった一度の出会いも
出会ったその瞬間はその後の展開も知らず
今更に「あーああしていればよかった こう話せたらよかった」の
後悔も残ります。
子どもの頃の別れは 最近とみに物忘れ度急上昇中の私でも
忘れられない出来事、その時の風景や表情がすぐに浮かぶから不思議。
莊ちゃん智ちゃんの気持ち とてもよくわかります。
それにしても 
ここまであの頃を思い出させてくれるバルおばさんに感謝。

海の向こうに住む娘さんとの再会
師走の忙しさの向こうに燦然と輝くご褒美ですね、
私まで嬉しくなりましたよ、ニッコリ。

投稿: ふたば | 2007年11月25日 (日) 10時25分

かなり 涙ぐんでしまいました グスン
わたしも、子どもの頃引越しをしたり、仲のよい友達が引っ越していったり、だれにでもある経験ですよね。
どちらかというと置いていかれるほうがつらいかなぁ

投稿: pochi | 2007年11月25日 (日) 10時52分

荘次と智子の二人のお互いを思いやる心・・・ジーンときました
このまま、綺麗な心で大人になってほしいものですね
金田さんシリーズは、とっても楽しみですがバルさんのご都合の良い時に
続けていただけたら嬉しいです。


年末に海の向こうに住む娘さんと逢われるとのこと
楽しみですね(^^♪

投稿: ななうさ | 2007年11月25日 (日) 11時40分

。・゚・(ノД`)・゚・。
泣いちゃいました・・・。
たった一言「ごめんね」と言えばよいのだろうけど
相手を思い過ぎて 言葉をなくしてしまうことってありますよね。

投稿: M | 2007年11月25日 (日) 17時40分

 忙し過ぎて わたしのように 目をまわさないでね。
 ぼちぼち いきまひょ。

投稿: 水戸小紋 | 2007年11月25日 (日) 19時26分

子供の頃の親友をふと思い出すきっかけになりました~♪
もう何十年も会ってないなぁ・・・・。

12月は確かに忙しいですね。
お体に気を付けて。
続きも楽しみにしています(^-^)

投稿: lisho | 2007年11月25日 (日) 22時42分

携帯で覗いて、きちんと絵を見ようとパソコンでみたら、あらら~~~
もう更新されてる!!
いい話じゃないですか!
昔の子と今の子、少しずつ顔が変わってきたのはなぜかなぁ??
なんて、バルおばさん絵を見ながら思ってしまいました!

絵の更新は無理しないで、来年に持ち越してもいいんじゃないですかぁ!
まったりと待ってますよ!

クリスマス時期のパリは素敵ですよ~~!!きっと!いいなぁ!

投稿: おおかみおばさん | 2007年11月26日 (月) 00時23分

ありますよね、優しい思いやりと思いやりが微妙にすれ違っていく…。
心優しい人同士にしかおこらないすれ違い、ちょっぴり悲しくなっちゃいます。
セーターの質感がいいですねぇ(^▽^)

投稿: ねこおばさん | 2007年11月26日 (月) 01時35分

読みながら…胸がジーンと熱くなり…
長いこと生きてきた過去のいろんな人との
別れが思い出してます
そしてチョッとおセンチになってます

娘さんの所へいかれるんですか
私もまだ半年先だけど日が決まったので
せめて中学英語くらいは思い出さないとと焦ってます(笑)

お互いにのんびり、まったり長~く頑張りましょうね (*^。^*)

投稿: ちゃこママ | 2007年11月26日 (月) 10時31分

このような思い出があるだけでもウラヤマシイ。

投稿: スタンリー | 2007年11月26日 (月) 10時39分

大好きな智子ちゃんと、目を合わしても、恥ずかしいのと、
何を?話して、いいのかも解らないよね、
純真だし、初恋を思い出したわ、智子ちゃんは優しい子ですね荘次君
嬉しい、お手紙が宝物に成りましたね、
大人にな成っても、この優しい、お手紙は大事にしてね、
ソ~ット宝箱に仕舞ってね、
バルさん、お嬢さんの所に行くのですね、
もう!数ヶ月、逢って居ないので、嬉しいですね、
美味しい果物と
美男子の国ですから、
タップり目の保養をして来てね、

投稿: mitirin | 2007年11月26日 (月) 12時38分

こんにちは。
最近なかなかブログに伺えなくてごめんなさい。
久々に来てみたら!
三話も更新されていました。
もう、一気に読んでしまいましたよ。
二人ともいい子。二人の母親もすてきだと思います。
あまりに二人の感情が丁寧に描かれているので
私も子供の頃の自分に還って読んでしまいます。
子供も精一杯周囲に気を使いながら、生きてるんですよね。

投稿: ひよこ豆 | 2007年11月26日 (月) 13時13分

バルさん、年甲斐も無く、ちょっと涙ぐんでいます。
 誰でも子供の頃は距離ができると、なかなか修復できないです。
本当は 大好きな友達でも。。

いつもお忙しいバルさん、12月は特にお忙しいですよね。 
私達はここへ訪問する事を、楽しみにしています。
全然気にしないで下さいね。

娘さんのところに行けるのですね、楽しみですね>^_^<
楽しい珍道中、バルさんの仄々とした、絵日記待っています。

投稿: | 2007年11月26日 (月) 20時17分

バルさん、ごめんなさい。
↑の名無しはコスモスでした(-_-;)

投稿: コスモス | 2007年11月26日 (月) 20時18分

バルさん、お嬢さまのところにいらっしゃるのね~
嬉しいでしょう
ドキドキでしょう
お嬢さまも同様の思いでまってらっしゃるところね!
色々ご案内したくてウキウキなさってるわね、きっと。

この七話は目がジーンとして・・・
何で私が泣くの?
ヒロインになってしまったわけではないのに (笑)
甘く切ないお話です!
毎回楽しみ~!

お忙しそうだけどお身体大切に、 ね、 バルさん

投稿: 梓の小鳥 | 2007年11月26日 (月) 23時02分

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